FCNTは10月31日、らくらくスマートフォンの新製品3機種を発表しました。これまでドコモ専用だった「らくらくシリーズ」を初めて他社へ展開し、ドコモ向け最上位機「らくらくスマートフォン F-53E」、Y!mobile(ワイモバイル)向け「らくらくスマートフォン a」、SIMフリーモデル「らくらくスマートフォン Lite MR01」を投入します。
従来のらくらくスマートフォンが持つ使いやすさを継承しつつ、性能面での大幅な進化を遂げた新モデルの登場です。さらに、Y!mobileとSIMフリーモデルを追加することで、従来のドコモユーザーに加え、新たな顧客層の開拓を目指します。電池の長持ちや自律神経の計測など、先進的な機能も全機種に搭載されています。
3年ぶりのフラッグシップモデル「F-53E」は”変えない”ことにこだわった進化
NTTドコモ向けの最上位機種となる「らくらくスマートフォン F-53E」は、前モデルのF-52Bから約3年ぶりの新モデルとなります。
開発にあたっては、長年培ってきたらくらくスマートフォンの使いやすさを損なわないことに徹底的にこだわりました。ボタン配置や握りやすさ、独自のらくらくタッチパネル、シャッターボタンなどの基本設計は継承。その上で、内部の刷新によって大幅な性能向上を実現しています。
新たに採用されたQualcommのSnapdragon 6 Gen 3プラットフォームや、光学式手ブレ補正付きのソニー製高画質センサーの搭載により、快適な操作性と美しい写真撮影が可能になりました。約5.4型の有機ELディスプレイは高い視認性を実現。倍増の128GBストレージとmicroSDXCカードスロットの装備で、たっぷりのデータを保存できます。
使いやすさを追求したユーザーインタフェースの改良も特筆すべき点です。従来の「UD新丸ゴ」に加え、新たに「UD黎ミン」フォントを追加し、ユーザーの好みに合わせて選択できるようになりました。
FCNTで商品企画を担当する外谷一磨氏は、F-53Eの開発における「変えない」ことへのこだわりについて語ります。中央に配置されたカメラのために基板設計を工夫したり、コンパクトな筐体に有機ELディスプレイを特注で開発したりと、ユーザー目線の使いやすさを実現するための技術的なチャレンジが数多くあったそうです。
パズルのようなアイデアを凝らし、「ハイエンドの開発なみ」の努力を重ねた結果、従来モデルの良さを守りながら、性能面では大きく進化したF-53Eが誕生しました。
Y!mobile参入とSIMフリー化で新規ユーザーを開拓
FCNTは今回、らくらくスマートフォンのラインナップ拡充と新規ユーザー開拓を目的に、Y!mobile向けの「らくらくスマートフォン a」とSIMフリーの「らくらくスマートフォン Lite MR01」の2機種を投入します。
「らくらくスマートフォン a」は、MediaTek Dimensity 7025プラットフォームを採用し、約6.1型ディスプレイを備えたモデルです。らくらくスマートフォン特有のホームランチャーやUIを継承しつつ、ハードウェアは一般的なスマートフォンに近い仕様となっています。4500mAhの大容量バッテリーを搭載し、優れた駆動時間を実現。メインカメラは約5010万画素、インカメラは約800万画素のハイスペックな構成です。
価格面でも、他社からの乗り換え(MNP)時には9800円という積極的な設定を用意。カメラ性能や駆動時間の長さといったスペックの高さと、魅力的な価格のバランスで新規ユーザーの獲得を狙います。
また、SIMフリー版となる「らくらくスマートフォン Lite MR01」は、IIJmioやLIBMOといったMVNO各社や家電量販店での取り扱いを予定。SIMロックがない自由度の高さを武器に、幅広いユーザー層への訴求を図ります。仕様はY!mobile版とほぼ共通ですが、想定価格は5万円程度とやや高めです。
興味深いのは、NTTドコモがこのSIMフリー版らくらくスマートフォンを取り扱う点です。同社はこれまでらくらくスマートフォンをドコモ限定モデルとして展開してきましたが、顧客のニーズに柔軟に対応するため、初めてSIMフリー機種の販売に乗り出します。ただし、ドコモ独自のサービスや機能を重視するユーザーにはF-53Eの購入を推奨しているとのことです。
全機種に搭載される先進機能
新発表の3機種には、先進的な機能もそろっています。電池の長寿命化技術「Qnovo」を全機種に採用し、4年後でも初期容量の80%を維持。長く安心して使い続けられます。
また、2024年8月に発売されたarrows We2 Plusで初めて搭載された自律神経活性度測定機能も、全モデルに導入されました。指先のバイタルデータから自律神経のパワーとバランスを計測でき、アプリを通じて健康管理に役立てられます。京都大学名誉教授の森谷敏夫氏監修による改善アドバイスも提供されます。
さらに、振り込め詐欺対策として、通話中に特定のキーワードを検知して警告を表示し、会話を自動録音する機能も備わっています。防水・防塵性能やまる洗い対応といった、らくらくシリーズお馴染みの特長も健在です。
価格と購入方法
- らくらくスマートフォン F-53E
- 発売日: 2024年11月下旬
- 価格: 未定
- 購入方法: NTTドコモ
- 公式サイト: https://www.nttdocomo.co.jp/
- らくらくスマートフォン a
- 発売日: 2024年12月上旬
- 価格: 31,680円(税込)※MNP契約で9,800円
- 購入方法: Y!mobile
- 公式サイト: https://ymobile.jp/
- らくらくスマートフォン Lite MR01
- 発売日: 2024年12月中旬
- 価格: 50,000円前後(予定)
- 購入方法: IIJmio、LIBMO等のMVNO、
- 家電量販店、NTTドコモ
- 公式サイト: 未定
まとめ
FCNTが約3年ぶりに投入する「らくらくスマートフォン」の新モデルは、従来の使いやすさを守りながら大幅に進化を遂げました。最上位機種のF-53Eは、ハイエンドスマートフォン並みの技術的チャレンジによって、ユーザー目線の価値を徹底的に追求。Y!mobile向けとSIMフリーモデルの投入で、新たな顧客層の開拓にも積極的に取り組みます。
シニア向けスマートフォンの先駆者として、FCNTはこれからも「らくらくスマートフォン」と「らくらくホン」の2本柱で、使いやすさと先進性を両立する製品作りを続けていくでしょう。今回の3機種には、そうしたFCNTの姿勢が色濃く反映されています。
少子高齢化が進む日本社会において、シニア層のスマートフォン利用はこれからも拡大が見込まれます。使いこなしへの不安を抱える2000万人ともいわれるシニアユーザーに向けて、らくらくスマートフォンの累計販売台数は約900万台。新製品によって、さらに多くのユーザーの手に届けられることでしょう。FCNTの挑戦から目が離せません。