2024年8月、米国株式市場を牽引する「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる7つのテクノロジー巨大企業の株価動向に、明暗が分かれる結果となりました。人工知能（AI）の進展や広告収入の変動、規制リスクなど、様々な要因が各社の株価に影響を与えています。本記事では、これらの企業の最新動向と、投資家にとっての意味合いを詳しく解説します。
アルファベットとアマゾン、広告収入の懸念で株価下落
アルファベット（Google親会社）とアマゾンは、8月中に時価総額がそれぞれ4.7%、4.5%減少しました。
アルファベットの株価下落の主な要因は、YouTubeの広告販売の鈍化による収益力への懸念です。また、米国の裁判所によるGoogleの反トラスト法違反判決や、OpenAIによるAI搭載検索エンジンの開発など、競争環境の変化も投資家の不安を煽りました。
一方、アマゾンはネット通販売上高の減速が株価下落の主因となりました。eコマース市場の飽和や、消費者の実店舗回帰傾向が、同社の成長に影響を与えている可能性があります。
テスラとエヌビディア、業績懸念で株価が軟調
テスラとエヌビディアも、8月中にそれぞれ7.7%の時価総額減少を記録しました。
テスラの株価下落は、第2四半期業績の下振れが大きな要因となりました。さらに、カナダが中国からの輸入電気自動車（EV）に100%の追加関税を課す方針を発表したことも、逆風となりました。テスラは昨年、上海工場で製造したEVのカナダ向け輸出を開始しており、この追加関税が収益に及ぼす影響が懸念されています。
エヌビディアは、8月最終週に大きく株価を下げました。8-10月期の粗利益率見通しが市場予想を下回ったことが主な要因です。5-7月期の売上高は予想通りでしたが、市場はより堅調な数字を期待していたため、失望売りを誘いました。
メタ、好調な業績で株価上昇
マグニフィセント・セブンの中で唯一、メタ（旧Facebook）は8月中に時価総額が10%近く増加しました。
この好調な株価パフォーマンスの背景には、第2四半期業績が市場予想を上回ったことがあります。さらに、第3四半期の売上高見通しも強気な内容となり、デジタル広告収入の堅調な伸びがAI関連投資の費用負担を吸収できるという見方が広がりました。
マグニフィセント・セブン以外の注目株
マグニフィセント・セブン以外では、イーライリリーとバークシャー・ハサウェイの株価動向が注目を集めました。
イーライリリーの時価総額は、8月中に約20%増加しました。同社の力強い売上高成長や、肥満成人の2型糖尿病進行リスクを大幅に減らす新しい減量薬の投入が好感されました。
バークシャー・ハサウェイは、8月末に終値ベースの時価総額が初めて1兆ドル（約145兆円）を突破しました。この値動きには、同社を率いる著名投資家ウォーレン・バフェット氏に対する投資家の強い信頼が反映されています。
まとめ
8月のマグニフィセント・セブンの株価動向は、テクノロジー業界の現在の課題と機会を如実に表しています。AI技術の進展、広告市場の変化、規制リスク、そして競争環境の激化など、様々な要因が各社の業績と株価に影響を与えています。
投資家にとっては、これらの動向を注視しつつ、各企業の長期的な成長戦略や競争力を慎重に評価することが重要です。また、マグニフィセント・セブン以外の銘柄にも目を向け、バランスの取れたポートフォリオ構築を心がけることが賢明でしょう。
テクノロジー業界の変化は速く、今後も予想外の展開が起こる可能性があります。常に最新の情報を入手し、柔軟な投資戦略を維持することが、成功への鍵となるでしょう。
