ティー・ロウ・プライスの債券部門責任者、アリフ・フセイン氏は、日本の金利上昇が世界の金融界に大きな衝撃を与える可能性があると警鐘を鳴らしています。フセイン氏は昨年、日本の金利上昇を「サンアンドレアス断層」と表現し、早期に警告していました。その予想は的中し、日銀の7月の利上げは円キャリートレードの急激な反転を引き起こしました。
日銀の政策修正が巨大衝撃波の震源に
フセイン氏は、日銀の利上げは断層の最初のずれに過ぎないと指摘しています。今後もずれが起こり、世界的な動揺を引き起こす可能性があります。日本の金利がさらに上昇し、海外に投資された巨額の日本の資金が本国に還流するリスクがあるとフセイン氏は警告しています。日銀の金融引き締めとそれが世界の資金の流れに与える影響は複雑で、今後数年にわたって大きな影響を与えるだろうと述べています。
円キャリートレードの巻き戻しが市場を揺るがす
低金利で調達した円を売ってより利回りの高い資産に投資する円キャリートレードが突然巻き戻されたことで、日経平均株価は1987年以降で最大の下落を演じ、ボラティリティーが急上昇しました。エコノミストらは、米連邦準備制度が緊急利下げを実施することを迫られると予想しています。想定される米利下げと日銀のさらなる引き締めは、早期に市場を再び揺さぶる可能性があります。
日本の資金還流が世界の債券市場を再編する可能性
30年近い投資経験を持つフセイン氏は、日本の利回りが上昇するにつれて資金が日本に戻ってくる可能性が高いと見ています。日本の金融機関が米国から自国へ資金を移すにつれて、米国債が圧力を受ける可能性があります。日本の10年国債利回りは0.915％と、8月6日以来の高水準となっています。フセイン氏は、日本の利回り上昇が生命保険会社や年金基金の巨額資金を日本国債へと呼び戻し、世界市場の需要を再編成する可能性があると述べています。
まとめ
ティー・ロウ・プライスの債券部門責任者、アリフ・フセイン氏は、日本の金利上昇が世界経済に大きな影響を与える可能性があると警鐘を鳴らしています。日銀の金融引き締めは円キャリートレードの巻き戻しを引き起こし、市場を揺るがしました。今後、日本の利回りがさらに上昇し、海外に投資された巨額の資金が日本に還流するリスクがあります。これは世界の債券市場を再編成し、特に米国債に圧力をかける可能性があります。日本の金利上昇と資金還流が世界経済にどのような影響を与えるのか、注意深く見守る必要があるでしょう。
