Appleが2025年にリリースした最新ノートPC・MacBook ProのM4 Maxモデルが、今ゲーミング業界で注目を集めています。とりわけ話題なのは、あの人気AAAタイトル『サイバーパンク 2077: Ultimate Edition』をフルHDを超える高解像度(3,024×1,964ピクセル)で、120FPSという滑らかなフレームレートでプレイできるという実演デモです。本記事では、AppleのM4 Maxがどのようにしてこの圧倒的なパフォーマンスを実現したのか、ネット上の追加情報も交えながら詳細に解説します。Macユーザーはもちろん、ゲーミングノートPCの未来を知りたい方も必読の内容です。
40コアGPU&16コアCPUのM4 Max、そのスペックとは?

まず、M4 Maxのスペックを簡単におさらいしましょう。M4 Maxは16コアのCPUと40コアのGPUを搭載し、現行のApple Siliconシリーズで最上位となるポテンシャルを持ちます。TSMCの最先端3nmプロセス(3ナノメートル)で製造され、電力効率とパフォーマンスのバランスが大幅に向上しています。ユニファイドメモリは最大128GBを搭載可能で、帯域幅も従来比でさらに高速化されています。
M4 Maxを搭載したMacBook Proは、画面サイズが14インチおよび16インチモデルから選ぶことができ、そのいずれも高精細なミニLEDディスプレイ(リフレッシュレート最大120Hz)を備えています。最低でも3,024×1,964ピクセルという高解像度が標準的に用意されており、一般的なノートPC(2,560×1,600ピクセルなど)を大きく上回る美しさと広い作業領域を提供しています。
サイバーパンク2077:最新AAAゲームを120FPSで動作──実際の条件を解き明かす

今回話題を呼んだのは、2025年6月のApple Park(シリコンバレーのApple本社)で開催されたデモンストレーションです。ここでM4 Max搭載のMacBook Proが『サイバーパンク2077: Ultimate Edition』を120FPSで動作させている様子が紹介されました。「Ultra」設定でのプレイとアナウンスされていますが、実際のところ、最大値の「Max」設定よりは一部グラフィックスオプションが抑えられていた可能性が高いです。
さらには、グラフィックス処理に莫大な負荷を与えることで知られる「パストレーシング」オプションは無効になっていたと考えられます。パストレーシングは物理ベースレンダリング(PBR)の最先端技術で、リアルな光の挙動を再現するものですが、NVIDIAのRTX 4090(ラップトップでは50万円~60万円クラス)でさえ、最大クオリティ設定・パストレ有効・DLSSオンでも60~80FPS前後が限度です。
よって、M4 Maxで120FPSというスペックは、パストレをオフにし、「Ultra」もしくは一部設定を調整した形で実現したものといえるでしょう。
高フレームレートの鍵──フレーム生成(Frame Generation)とMetalFXアップスケーリング
Apple Siliconがここまで高フレームレートを叩き出せた最大の秘訣は、「フレーム生成(Frame Generation)」と「MetalFXアップスケーリング」にあります。これらは、GPU自体の演算リソースをフルに使い切るだけでなく、ソフトウェア的な工夫でフレームレートを“かさ上げ”する最先端の技術です。
フレーム生成は、2025年のWWDCでAppleが発表したMetal 4 API(macOS Tahoe 26で採用)で本格対応した新機能です。これは、2つの実フレームの間に“中間フレーム”をAIが予測的に生成することで、実際の描画枚数よりも滑らかな動画体験が得られます。似た技術としてNVIDIAのDLSS 3(ディープラーニングスーパーサンプリング第3世代)にもフレーム生成があります。今回のデモで120FPSに到達できたのも、このフレーム生成アルゴリズムの恩恵が大きいと考えられます。
加えてMetalFXアップスケーリングも見逃せません。これは、内部解像度を意図的に落とし(たとえば2,560×1,600ピクセルなど)、そこからAIベースで高解像度に引き伸ばす技術です。これによってグラフィック負荷を軽減しつつ、高精細な映像出力を両立できるため、実質的に“重い”設定でもプレイアブルなフレームレートをキープできるのです。
Macのゲーミング対応が進化する──AppleとCD PROJEKT REDの連携
これまで「Macはゲームに弱い」というイメージが根強くありました。しかし、2023年以降、Apple Silicon搭載Macでは多数のAAAゲームタイトルが本格移植され始め、Apple独自API「Metal」の進化、最新GPUアーキテクチャ、ユニファイドメモリの大容量化が合わさったことで、その常識は大きく変わりつつあります。
今回のサイバーパンク2077移植では、AppleとCD PROJEKT RED(ポーランドの大手ゲームデベロッパー)が密接に協業し、macOS向けに最適化されたネイティブ移植が実現したとされています。Spatial Audio(空間オーディオ)などAppleらしい体験も搭載予定で、今後はMacで“WindowsゲーミングPC級”の体験がごく普通になるのも夢ではありません。
RTX 4090ラップトップとの比較──Apple Siliconは次世代ゲーミングをリードするか?
では、従来まで最強とされてきたNVIDIA RTX 4090ラップトップ(20万円~30万円前後、約1.3〜2.0kgクラス)と比べて、M4 Max MacBook Proは真に肩を並べる存在なのでしょうか。
事実として、パストレーシング・全設定MAX・DLSS品質モードで試した場合、RTX 4090ラップトップは『サイバーパンク2077』で60~80FPSというのが現状の限界です。それに対して、M4 Maxはフレーム生成やアップスケーリングを最大限活用し、“体感120FPS”を達成する設計になっています。つまり、「素の描画能力」という意味ではRTX 4090の方が依然として高速ですが、「ソフトウェアによる賢い補完」で体感性能(と消費電力の効率)はAppleが新たな地平を切り開いているとも言えるでしょう。
また、Apple Silicon搭載MacBook Proはバッテリー持続時間や静音性、発熱の少なさといった点でも優れており、ノートPCとしての使い勝手・モバイル性において一歩リードしている側面も見逃せません。
まとめ:Apple Silicon Macのゲーミング性能はどこまで進化するのか
2025年時点、AppleのM4 Maxチップは従来考えられなかったレベルでMacのゲーミング性能を進化させました。特にAAAタイトルである『サイバーパンク 2077: Ultimate Edition』が“高解像度・120FPS”という快適動作を果たしたことは、Macも十分“本格ゲーミングPCの選択肢”となり得る証左です。
その背景には、ハードウェア・ソフトウェアの両面にわたる技術革新の積み重ねがあり、Apple独自のフレーム生成やアップスケーリング、ユニファイドメモリの恩恵が大きく寄与しています。今後もAppleとゲームメーカーとの連携が進むことで、ますます多くのAAAゲーム、eスポーツタイトルがMacで快適に動作する時代が到来するでしょう。
ゲーマーのみならず、プロフェッショナルやクリエイターにとっても、“1台で全てをこなすモバイルPC”として、MacBook Proの存在感は今後さらに高まることが期待されます。
