イーロン・マスク氏率いるテスラは、ロボタクシーの実用化に全社の未来を託しています。10日に開催されたイベント「ウィー、ロボット」では、テスラ専用ロボタクシーが披露されました。マスク氏は自動運転技術の完成が近いと繰り返し述べてきましたが、残念ながら業界をリードするウェイモを上回る信頼性の高い計画を示せませんでした。
ロボタクシー:テスラが描く自動運転の未来
ロボタクシーはテスラの他のモデルとは一線を画す、運転手を必要としない完全自動運転車となる見込みです。
カメラとコンピューティング能力によってナビゲートし、高価とされるライダーセンサーは不要とのこと。デザインはフロントシートとバタフライウイングドアを二つずつ備えた近未来的なものです。
ロボバン:個人使用も可能な20人乗り自動運転バス
テスラはこの他にも、20人乗りの新型車「ロボバン」を発表しました。
ロボバンは20人乗りで、商業用または個人用に適応可能です。スクールバス、RV、貨物車として使用できます。
規制とビジネスモデルが鍵を握る
しかし、技術的なブレークスルーを実現できたとしても、ロボタクシーの発売には規制当局の承認が不可欠です。イベント会場にワーナー・ブラザーズのスタジオの私道が選ばれたのは、カリフォルニア州で自動運転車による商業サービスを提供するには州当局の許可が必要だからでしょう。テスラはまだ申請していないとのことで、ライバル企業に後れを取っています。
一方、ビジネスモデルも注目されます。マスク氏はウーバーとエアビーアンドビーを合わせたようなサービスを想定しており、テスラ車のオーナーが自分の車をロボタクシーとして提供できるようにしたい考えです。需要に応じて専用ロボタクシーが補完するとのことですが、具体的にどのように運用するのかは明らかになっていません。
低価格モデルなど、差し迫った課題も
ロボタクシーへの期待が高まる一方で、テスラには目先の課題もあります。今年7-9月期の納車台数はアナリスト予想を下回り、年間販売台数が初めて減少する可能性があるのです。4月に予告した低価格モデルについても、来年の生産開始を目指すとしながら、このところほとんど言及されていません。モデル3やモデルYの廉価版になるのではないかとの観測もありますが、ロボタクシーへの注力で二の次になっているのは確かでしょう。
まとめ
イーロン・マスク氏とテスラは、ロボタクシーの実用化に全社の未来を賭けています。10日のイベントでは自動運転技術の進歩や明確な計画が示されませんでした。規制への対応やビジネスモデルの構築など、克服すべき課題は少なくありません。一方で、足元の販売減速や低価格モデルの行方など、より差し迫った問題にも直面しています。マスク氏はロボタクシーで自動運転の新時代を切り開けるのでしょうか。今後のマスク氏やテスラの動向が注目されます。