AMDのデスクトップ向け「Radeon RX 9070シリーズ」は比較的成功したローンチを果たしました。同社はNVIDIAのRTX 50シリーズと競争できる価格設定に調整することに成功しましたが、発売後まもなく、ボードパートナー各社は公式メーカー希望小売価格(MSRP)を維持することに苦戦しています。
そんな中、AMDはすでに新シリーズの発表計画を進めているようです。今回はノートPC向けの「Radeon 9000Mシリーズ」です。情報筋「All the Watts」によると、このシリーズには6つのバリエーションが含まれるとのこと。このリーカーの過去の情報は必ずしも完璧ではありませんが、AMDが正式発表する前にRDNA4 GPUシリーズの名称を正しく予測していた実績があります。
Radeon RX 9000Mシリーズのラインナップ詳細
新たな情報によると、AMDはNavi 48 GPUをベースにした2つのカード「Radeon RX 9080M」と「RX 9070M XT」を発売する予定です。残りのカードはNavi 44 GPUを採用すると予想され、「RX 9070M」、「RX 9070S」、「RX 9060M/S」が含まれます。「S」バリエーションは低電力モデルで、かつてNVIDIAのMax-Qバージョンと比較していたものに類似しています。
最も注目すべきモデルは「RX 9080M」で、64基のRDNA4コンピュートユニット(Compute Units、CU)を搭載し、これは4,096ストリームプロセッサに相当します。モデル名の2番目の数字はメモリ構成を示している可能性が高く、16GBと予想されています。一方、「RX 9070M XT」は48基のCUと12GBのメモリを搭載すると噂されており、この構成は最近情報が漏れた「RX 9070 GRE」と一致します。
「RX 9070M」と「9070S」は32基のRDNA4 CU(2,048コア)を特徴とし、「RX 9060M」と「9060S」は1,792コアを搭載すると予想されています。これらの下位モデル4種類はすべて8GBのメモリを搭載するとされています。
スペック比較と市場ポジショニング
以下に、噂されているRadeon RX 9000Mシリーズの予想スペックをまとめました:
モデル | GPU | コンピュートユニット | ストリームプロセッサ | メモリ容量 |
---|---|---|---|---|
RX 9080M | Navi 48 | 64 | 4,096 | 16GB |
RX 9070M XT | Navi 48 | 48 | 3,072 | 12GB |
RX 9070M | Navi 44 | 32 | 2,048 | 8GB |
RX 9070S | Navi 44 | 32 | 2,048 | 8GB |
RX 9060M | Navi 44 | 28 | 1,792 | 8GB |
RX 9060S | Navi 44 | 28 | 1,792 | 8GB |
これらの新モデルは、現行のRDNA3ベースのRadeon RX 7000Mシリーズと比較して大幅なパフォーマンス向上が期待されています。特に最上位モデルのRX 9080Mは、ハイエンドゲーミングノートPCやクリエイター向けノートPCに搭載され、NVIDIAの次世代GeForce RTX 50モバイルシリーズと競合することになるでしょう。
また、Sバリエーションの登場により、薄型軽量なゲーミングノートPCやポータブルゲーミングPCでも高いグラフィックス性能を実現できる可能性があります。これらのモデルは、電力効率を重視しながらも十分なゲーミング性能を提供することを目指していると考えられます。
発表時期と市場への影響
AMDはすでにComputex 2025でのプレスカンファレンスを発表しています。Radeon RX 9000Mシリーズと、デスクトップ向けのRX 9060 XTが、このイベントで正式に発表される可能性が非常に高いです。
現在のPC市場では、ゲーミングノートPCの需要が堅調に推移しており、特にAI対応のシステムへの関心が高まっています。AMDの新しいRDNA4アーキテクチャは、AIワークロードの処理能力も向上していると期待されており、これにより同社はNVIDIAのRTXシリーズに対してより競争力のあるポジションを確立できる可能性があります。
また、日本市場では特に薄型・軽量なゲーミングノートPCへの需要が高く、RX 9000MシリーズのSバリエーションは日本のユーザーにとって魅力的な選択肢となるかもしれません。
ゲーミング性能と期待される価格
RDNA4アーキテクチャの詳細な性能特性はまだ明らかになっていませんが、AMDの過去のアーキテクチャ更新パターンを考慮すると、RDNA3と比較して約30〜40%のパフォーマンス向上が期待できます。また、電力効率の面でも改善が見込まれており、バッテリー駆動時のゲーミング体験も向上するでしょう。
価格については公式情報はありませんが、現行のRX 7000Mシリーズと同等かやや高めに設定される可能性があります。これらのGPUを搭載したノートPCは、エントリーレベルのモデルで約15万円(約$1,000)から、ハイエンドモデルで30万円(約$2,000)以上になると予想されます。
まとめ:AMDのモバイルグラフィックス戦略が明確に
AMDのRadeon RX 9000Mシリーズの情報流出は、同社がモバイルグラフィックス市場においてもNVIDIAに対抗する姿勢を明確に示しています。最上位モデルからエントリーレベルまで幅広いラインナップを揃えることで、さまざまな価格帯のゲーミングノートPCに対応する戦略が見えてきました。
Computex 2025での正式発表が予想される中、これらの新しいグラフィックスソリューションがモバイルゲーミング体験をどのように変革するのか、そしてNVIDIAの次世代モバイルGPUと比較してどのような競争力を持つのかが注目されています。
RDNA4アーキテクチャの登場により、AMDはゲーミングだけでなく、AIやクリエイティブワークロードにおいても競争力を高めることが期待されます。日本のユーザーにとっても、より高性能で電力効率の良いノートPCが選択肢として増えることになるでしょう。
今後数ヶ月間で、これらの新モデルに関するさらなる詳細情報が明らかになると予想されます。AMD公式からの発表や追加の情報リークに注目していきましょう。
