今年、ゲーマーにとって朗報だったのは、Radeon RX 9070シリーズの価格がようやく希望小売価格(MSRP)に落ち着いたことでした。PowerColorのRX 9070は549ドル、RX 9070 XTは599ドルで入手でき、やっと手が届くタイミングだと思った方も多いでしょう。
しかし、ここにきてAMDが、主要パートナーに対してGPU全製品の価格改定を通知しました。理由はメモリ価格の急騰です。今回の値上げは最低でも10%となる見込みで、ゲーマーやクリエイターにとっては、まさに購入のタイミングを逃さないことが重要になっています。
値上げの対象は全ライン
台湾メディアUDNの報道によれば、AMDはすでにASUS、Gigabyte、PowerColorなどのパートナーに通知済みです。影響を受けるのは以下の製品です。

- Radeon RX 9000シリーズ(RDNA 4世代)
- Radeon RX 7000シリーズ(RDNA 3世代)
- ワークステーション向けRadeon PRO
- データセンター向けGPU
ゲーミング向けだけでなく、プロフェッショナル用途のGPUも値上げ対象となるため、幅広いユーザーに影響が出そうです。
タイミングの悪さ — 希望小売価格到達の喜びも束の間
Radeon RX 9070シリーズは、発売から8か月を経てやっとMSRPに到達しました。RX 9070 XTは3月に発売されましたが、リファレンスモデルの一般販売がなかったため、カスタムモデルのみで展開されてきました。そのため、長期間にわたり定価を大きく上回る価格で販売されていました。
現在、Amazonでは下記のモデルが10万円以下で購入可能です。
- 玄人志向 RD-RX9070XT-E16GB/TP: 93,736円
- ASRock Radeon RX 9070 XT Steel Legend: 94,800円
- ASRock RX9070XT SL 16G/AX: 95,800円
しかし、この価格も長くは続かない見込みです。価格改定により、数週間以内に上昇する可能性が高いとされています。
値上げの理由 — DRAM価格の急騰
DRAM市場では異常事態が発生しています。2025年第3四半期の契約価格は、前年同期比で171.8%も上昇しました。これは金価格の上昇率すら上回る勢いです。
たとえば、Corsairの人気DDR5メモリキット「Vengeance RGB 2x16GB 6000MT/s」は、7月時点で91ドルだったものが、現在は183ドルに。わずか数か月でほぼ2倍になっています。
この背景には、AI需要の急増があります。OpenAIのStargateプロジェクトなどで、大規模なデータセンター建設が進み、SamsungやSK Hynixが大量のDRAM供給契約を結んでいます。そのため、一般消費者向けのGDDR6・DDR5生産が抑制され、価格転嫁が避けられない状況となっています。
NVIDIA製品への影響も

AMDだけでなく、NVIDIAもGDDRメモリの調達コスト上昇を確認済みです。そのため、2026年第1四半期、場合によっては12月にも価格改定が実施される可能性があります。PowerColorの担当者も、「年末の最終週より前に購入することを推奨します」と警告しています。
業界関係者によると、影響は以下のように予測されています。
- エントリーレベルGPUの生産縮小または中止
- GeForce RTX 50 SUPERシリーズの発売延期
- ミドルレンジ製品の値上げ、全セグメントへの波及
ゲーマーへの提言 — 今が購入のチャンスです
古い価格契約で製造された在庫がまだ残っているため、数週間から数か月はMSRPで購入できる可能性があります。しかし、在庫が尽きれば新たな高価格での販売が始まります。
おすすめの行動は以下の通りです。
- Black Fridayセールの活用
多くのGPUがMSRPまたはそれ以下で販売されています。 - 早めの購入検討
年内の購入が最も安全です。 - 必要なVRAM容量の見極め
将来的にVRAMが多いモデルはさらに高額になる可能性があります。
まとめ — 避けられない値上げの波
AMDのGPU価格改定は、単なる企業判断ではなく、世界的なメモリ市場の構造的な問題によるものです。AI需要に応じた生産シフトの影響で、消費者向けGPUの価格は上昇せざるを得ません。
ゲーマーにとっては厳しい状況ですが、現在の価格で購入できるチャンスは今だけです。購入を検討している方は、年内の決断が賢明でしょう。
