Appleが自社製5Gモデムの開発を進めていることは広く知られていますが、その実用化には依然として課題が残されています。Appleは来月、iPhone 16シリーズを発表する予定ですが、カスタム5Gモデムは次のモデルで実現することはないと予測されています。しかし、この新技術が将来的にiPhoneのデザインや機能に大きな変革をもたらす可能性があることが明らかになってきました。
自社製モデムの性能と課題
Bloombergのマーク・ガーマン氏の最新レポートによると、Appleの自社製モデムは当初、Qualcomm製のモデムに比べて性能面で劣る可能性があるとのことです。Appleは数十億ドル(数千億円)を研究開発に投じていますが、Qualcomm製モデムに追いつくには時間がかかるでしょう。
ユーザーにとっては、当面大きな利点を感じられない可能性があります。実際、Apple社員も「顧客は自分のiPhoneに搭載されているモデムのメーカーをあまり気にしていない」と認めているそうです。
長期的なビジョンと統合の可能性
しかし、Appleが自社製モデムの開発にこだわる理由は、長期的なビジョンにあります。将来的には、モデム、Wi-Fi、Bluetoothの機能を1つのチップに統合する計画があるとされています。これにより、信頼性とバッテリー寿命の向上が期待できます。
さらに、これらの機能をメインのSoC(System-on-Chip)に統合する可能性も示唆されています。これが実現すれば、コスト削減とiPhone内部のスペース節約につながり、新たなデザインの選択肢が広がる可能性があります。
iPhoneデザインへの影響
自社製モデムの開発は、単なる内部コンポーネントの変更に留まらず、iPhoneのデザインそのものに大きな影響を与える可能性があります。統合されたSoCにより、より薄型で軽量なデザイン、あるいは新たな機能を搭載するためのスペース確保が可能になるかもしれません。
現在、AppleはQualcomm製のモデムを高額で購入していますが、自社製モデムの実用化までは引き続きこれを使用する予定です。過熱問題などの技術的課題により開発が遅れていますが、報道によると2025年のiPhone SE 4とiPhone 17シリーズで初めて自社製モデムが搭載される可能性があるとのことです。
まとめ
Appleの自社製5Gモデム開発は、短期的にはユーザーに大きな利点をもたらさない可能性がありますが、長期的には非常に重要な戦略です。モデム、Wi-Fi、Bluetoothの統合、さらにはSoCへの統合は、iPhoneの設計に革命をもたらす可能性があります。これにより、より洗練されたデザイン、高性能、長時間のバッテリー寿命を持つiPhoneの実現が期待できます。技術の進化には時間がかかりますが、Appleの長期的なビジョンが結実すれば、スマートフォン市場に大きな影響を与えることになるでしょう。
これまでの情報によると、iPhone SE 4とiPhone 17シリーズのリリースに合わせて、来年には初めて自社製モデムが搭載される独自バージョンが登場する予定です。