日本銀行の植田和男総裁は、8月23日の国会での発言で、経済と物価の動向が予測通りに推移すれば、今後も金融緩和の調整を続けていく方針を示しました。この発言は、先日の世界的な金融市場の混乱を受けて行われた、通常国会閉会中の異例の召喚に応じたものです。
7月の利上げが市場の混乱を招いたとの見方を否定
植田総裁は、先日の世界的な市場の混乱について、日銀の7月の利上げが主要な要因だったとする見方を否定しました。むしろ、米国経済の状況に対する懸念が主な要因であり、「行き過ぎた」懸念はその後和らいでいると述べました。同時に、不安定な金融市場が物価見通しに与える影響を慎重に見極める必要があるとし、次の利上げを急ぐつもりはないことを示唆しました。
経済と物価の予測に沿えば、利上げを継続
植田総裁は、経済データが予想を上回る必要はなく、予測通りに推移すれば利上げを検討し続けるとの見解を示しました。この発言は、近年の超金融緩和政策を巻き戻す中央銀行の姿勢を示すものであり、次の利上げが差し迫っていなくても、将来的な利上げを阻む要因にはならないことを示唆しています。
9月の政策決定会合では現状維持の見通し
多くのエコノミストは、日本の与党が新しい党首を選出する時期に市場の波乱を避けるため、日銀が9月の政策決定会合で現状維持を決定すると予想しています。しかし、12月までには再び利上げを行うとの見方が広がっています。植田総裁は、市場参加者が不意を突かれないよう、日銀の考え方を丁寧に伝えていく方針を示しました。
まとめ
日本銀行の植田和男総裁は、国会での発言で、世界的な金融市場の混乱を受けても、経済と物価の動向が予測通りに推移すれば金融緩和の調整を続ける方針を示しました。7月の利上げが市場の混乱を招いたとの見方を否定する一方で、不安定な市場が物価見通しに与える影響を慎重に見極める必要性を訴えました。9月の政策決定会合では現状維持が予想されますが、年内の利上げ観測は根強く残っており、日銀は市場とのコミュニケーションを重視していく姿勢を示しました。