米国のテクノロジー大手Appleが、中国市場でのスマートフォン出荷台数において6位に転落したことが明らかになりました。市場調査会社Canalysによると、2024年第2四半期の中国市場でのAppleのシェアは14%となり、前年同期の16%から低下しました。出荷台数も前年比6.7%減少しています。
Local vendors dominate top five for first time, as Mainland China smartphone market grows 10% in Q2 2024
Canalys
(中国本土のスマートフォン市場が2024年第2四半期に10%成長し、初めてローカルベンダーがトップ5を占める)
中国でのiPhone出荷台数が前年比6.7%減少
Canalysのレポートによると、中国市場全体でのスマートフォン出荷台数は前年比10%増の7000万台に達しています。しかし、Appleは出荷台数が前年比6.7%減少し、シェアも14%に低下しました。これは、中国市場におけるAppleの存在感が薄れていることを示しています。
Huawei、Vivo、Oppoなど中国メーカーが躍進
一方、中国勢は好調を維持しています。1位はVivoで1310万台、2位はOppoで1130万台、3位はHonorで1070万台、4位はHuaweiで1060万台、5位はXiaomiで1000万台となりました。特にHuaweiは、自社開発のKirinプロセッサの性能がAppleのAシリーズチップを上回るなど、技術力でも存在感を増しています。
苦戦の原因
Appleの苦戦の原因として、以下のような点が挙げられます。
- 代わり映えのしないデザイン
- 先進的なアプリの欠如
- AIへの取り組みの遅れ
- 高価格帯の製品が中心
特にAI技術への対応の遅れは、Huaweiなど中国メーカーとの差別化を図る上で大きな障壁となっています。中国市場では、AI機能を搭載したスマートフォンが人気を集めており、この分野でのAppleの出遅れが目立つ形となっています。
加えて、iPhoneの高価格帯も、価格に敏感な中国ユーザーにとっては購入の障壁となっているようです。値下げやプロモーションを実施していますが、十分な効果を上げるには至っていません。
日本市場への潜在的な影響
中国市場でのAppleの苦戦は、日本市場にも一定の影響を与える可能性があります。
中国メーカーの日本進出加速
現在、Huawei、Oppo、Vivoなど中国メーカーは日本にローカライズした製品を積極的に展開しています。また、中国市場でiPhoneを打ち負かしたことで、日本市場への進出にさらに弾みがつく可能性が高まっています。これらの企業がさらに魅力的な製品を競争力のある価格で提供することで、日本でのシェア拡大を狙うことが予想されます。
日本ユーザーの選択肢の増加
中国メーカーの日本進出により、日本ユーザーのスマートフォン選択肢が増加します。特にコストパフォーマンスに優れた製品が登場することで、iPhoneの独占的地位が脅かされる可能性があります。
Appleの価格戦略への影響
中国メーカーの参入により、日本市場でのスマートフォン価格競争が激化する可能性があります。Appleは、iPhoneの価格設定を見直すことを迫られるかもしれません。また、エントリーモデルのiPhoneの投入など、新たな価格戦略を検討する必要性が出てくるでしょう。
イノベーションとローカライズの重要性
日本市場でのシェア維持のためには、Appleは革新的な製品開発とともに、日本ユーザーのニーズに合わせたローカライズにも注力する必要があります。日本語でのAI機能の提供など、日本市場に特化した機能や、サービスの強化が求められます。
ただし、日本市場はiPhoneの強固な基盤があり、中国ほどAndroid陣営の競争が激しくないことから、中国市場ほどの大きな影響は受けないと予想されます。しかし、Appleは日本市場での優位性を維持するために、革新的な製品開発と日本ユーザーのニーズに合わせたサービス提供に注力していく必要があるでしょう。
まとめ
中国市場は、米国市場とは異なり、Android陣営の競争が非常に激しいことが特徴です。Appleは、デザインや機能面でのイノベーションを加速させるとともに、AIへの投資を強化し、中国ユーザーのニーズに合わせたローカライズにも注力する必要がありそうです。AppleのAI機能は当初英語のみのサポートとなる予定ですが、中国語や日本語への対応も急務と言えるでしょう。
Appleの巻き返しに向けた取り組みに注目が集まります。