AMDが次世代GPU「RDNA 4」のラインナップについて、ハイエンド市場ではなくミドルレンジ市場に注力する方針を明らかにしました。これはNVIDIAとの競争戦略の大きな転換を意味します。
AMDのコンピューティング＆グラフィックス事業部門のSVP兼GMであるJack Huynh氏は、ハイエンドGPU市場での競争が同社にとってあまり効果的ではなかったと述べ、今後はユーザー数の拡大に焦点を当てると説明しました。
「私の最優先事項は、より早く市場シェアを40〜50%に拡大することです。全体の10%を狙うよりも80%を狙う方が良いでしょう。AMDを高級車しか買えない人のための会社にしたくありません。何百万人ものユーザーのためのゲーミングシステムを構築したいのです。」とHuynh氏は語っています。
AMDの新戦略 – 「王者」から「大衆」へ
AMDは長年、NVIDIAとGPU市場で競争を繰り広げてきました。両社とも自社製品を最高性能として宣伝し、特にフラッグシップモデルに注目が集まる傾向がありました。しかしAMDは、この戦略が市場シェア拡大につながっていないと判断したようです。
Huynh氏は「王者戦略」が功を奏していないと指摘し、今後はより競争力のある価格設定と価値提供に焦点を当てる方針を示しました。これは必ずしもハイエンド市場から完全に撤退するわけではありませんが、次期「RX 8000」シリーズでは異なるアプローチが取られると予想されます。
RDNA 4の方向性 – ミドルレンジ重視の製品ラインナップ
最近の報道によると、AMDはRDNA 4ラインナップをRDNA 1シリーズを参考にして構築する計画のようです。Navi 48「GFX1201」SKUとNavi 44「GFX1200」ベースのGPUが予定されているとのことです。
具体的なモデル名は明らかになっていませんが、RDNA 3シリーズで導入された「GRE」バリアントのような、より予算重視のモデルが増える可能性が高いでしょう。
AMDの過去の戦略と今後の展望
AMDは過去にも同様の戦略を取ったことがあります。Raja KoduriがRadeon部門を率いてRTG（Radeon Technologies Group）を設立した際、Polarisとその派生製品であるRadeon RX 400/500シリーズから始まる戦略を実施しました。
しかし、初めてのハイエンドラインナップであるVegaはゲーミング分野では成功を収めませんでした。その後のRDNA世代では、RX 5000シリーズが好調な売り上げを記録し、RX 6000シリーズも強力なラインナップとなりましたが、RX 7000シリーズではNVIDIAのハイエンド製品に性能で及びませんでした。
AMDはRDNA 3アーキテクチャでRTX 4090相当のグラフィックスカードを製造することも可能だったと述べていますが、消費電力が非常に高く、非常に高価になると判断したようです。
まとめ
AMDの新戦略は、ミドルレンジ市場に焦点を当て、より多くのユーザーにリーチすることを目指しています。これはハイエンド市場での競争からの転換を意味しますが、同時に市場シェア拡大の機会でもあります。
AMD Radeon RX 8000「RDNA 4」GPUは来年のCESでデビューし、第1四半期中に発売される予定です。この新しいアプローチがAMDにとってブレイクスルーとなるか、市場の反応が注目されます。
AMDの戦略転換は、GPU市場全体にも影響を与える可能性があります。消費者にとっては、より手頃な価格で高性能なGPUが入手できるようになるかもしれません。今後のAMDの動向と、それに対するNVIDIAの対応に注目が集まりそうです。
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