AMDのRadeon RX 9070および9070 XTグラフィックスカードの発売が大きな成功を収め、日本における同社のGPU市場シェアが過去最高の45%に達しました。この急成長は、優れたコストパフォーマンスと十分な供給量が、RTX 50シリーズの限られた在庫と比較して大きなアドバンテージとなったことが要因とされています。
日本で開催されたチームAMDラウンドテーブルにて、AMD日本のマーケティングマネージャー佐藤芳明氏は「日本市場におけるRadeonの販売シェアが45%に達した」と発表しました。これは同社にとって過去最高の数字であり、近年NVIDIA(エヌビディア)が圧倒的に支配していた市場構造に変化をもたらしています。
コストパフォーマンスと安定供給がAMD躍進の鍵
RX 9070シリーズの成功の背景には、優れたコストパフォーマンスが大きく貢献しています。RX 9070は約59,800円($399)、上位モデルのRX 9070 XTは約74,800円($499)という価格設定で、NVIDIAの同クラス製品と比較して魅力的な性能を提供しています。
特に注目すべきは、NVIDIAの最新RTX 50シリーズが発売当初から深刻な供給不足に悩まされている中、AMDは比較的安定した供給を維持していることです。この供給状況の差が、多くのゲーマーやPC自作ユーザーをAMD製品へと向かわせる要因となっています。
XFXのSwift Radeon RX 9070 OCなどのAIBパートナーモデルは2.7GHzのブーストクロックを誇り、高いパフォーマンスと冷却性能で人気を集めています。AMDのNavi 48アーキテクチャを採用したこれらのGPUは、最新のAAA級ゲームタイトルも快適にプレイできる性能を持ち、1440pゲーミングの主力として評価を高めています。
供給不足がさらなる成長の壁に
しかし、AMDの急成長にもかかわらず、潜在的にはさらなる市場シェア拡大の可能性があります。同イベントに参加したASRockの原口代表は「70%のシェアを目指したい」と意欲を示し、「まだ過半数以下」であることを指摘しました。
AMDのこの成長を妨げている大きな要因の一つが、GPUの生産不足です。イベントに出席したAIBパートナー各社は、「欲しいだけのRadeonカードを製造できていない」と不満を漏らしています。具体的には、RX 9070/XTに搭載されるNavi 48 GPUの供給が十分でないため、パートナー企業はカード生産数を抑えざるを得ない状況です。
業界関係者によると、TSMCの生産ラインにおける競合や、半導体市場全体の供給制約がこの状況の背景にあるとされています。AMDが今後この供給問題を解決できれば、在庫状況がさらに改善し、価格の低下につながる可能性があります。これにより販売数が増加し、AMDの市場シェアはさらに拡大する見込みです。
日本市場特有の動向と将来展望
日本市場におけるAMDの成功には、日本特有の要因も影響しています。日本では自作PCの文化が根強く、コストパフォーマンスを重視するユーザーが多いことがAMD製品の受け入れを後押ししています。また、電力効率への関心が高い日本市場において、AMDの最新GPUが示す電力効率の改善も好評です。
市場調査会社によると、2023年まで日本のGPU市場ではNVIDIAが70%以上のシェアを維持していましたが、この状況が急速に変化していることが今回の発表で明らかになりました。
AMDの躍進は単に一時的なものではなく、今後のGPU市場全体の競争激化を示唆しています。NVIDIAも次世代GPUの供給体制強化や価格戦略の見直しを迫られる可能性があり、最終的には消費者にとってより多くの選択肢と競争的な価格設定をもたらすことが期待されます。
国内ゲーミング市場への影響
AMDのシェア拡大は、国内ゲーミングPC市場にも大きな影響を与えています。従来NVIDIA製GPUを標準搭載としていた多くのPCメーカーが、AMDのRadeonシリーズを採用したモデルをラインナップに追加しています。
特にミドルレンジのゲーミングPCにおいて、RX 9070シリーズを搭載したモデルが増加しており、これまでGPU不足で高騰していたゲーミングPC価格の適正化にも寄与しています。ポータブルゲーミングPC市場においても、AMDのGPUを採用した製品が増加傾向にあり、Steam Deckの成功以降拡大している同市場でのAMDの存在感が高まっています。
また、国内の大手EC事業者によると、自作PC用パーツとしてのRadeonグラフィックスカードの販売も好調で、特にミドルレンジモデルでは在庫が入荷後すぐに売り切れる状況が続いているとのことです。
まとめ
AMDのRadeon RX 9070シリーズの成功により、日本GPU市場における同社のシェアは過去最高の45%に達しました。優れたコストパフォーマンスと比較的安定した供給が、NVIDIA RTX 50シリーズの供給不足と相まって、AMDの市場シェア拡大に貢献しています。
しかし、GPUの生産不足により、AIBパートナー各社は需要に見合うだけのカードを製造できない状況が続いています。AMDがこの供給問題を解決できれば、さらなる市場シェア拡大の可能性があり、ASRockの代表が示唆したように70%のシェアも視野に入ってくるでしょう。
今回のAMDの躍進は、長年NVIDIAが支配してきたGPU市場に変化をもたらす重要な転換点となる可能性があります。この競争激化は最終的に消費者にとってより良い製品選択と価格設定をもたらすことが期待されます。今後のAMDの供給体制強化と、それに対するNVIDIAの対応が注目されます。
