AMDは2025年6月、最新グラフィックスカード「Radeon RX 9060 XT」をついに発売しました。今回登場したのは、8GBモデルと16GBモデルの2種類。アメリカ市場向け価格は8GBで299ドル(約44,850円)、16GBで349ドル(約52,350円)となっていますが、日本におけるメーカー希望価格は8GB版が約55,000円、16GB版は約65,000円と報告されています。ミドルレンジ帯に位置しながらも最新技術を盛り込み、NVIDIAのRTX 5060シリーズに真っ向勝負を挑むモデルとして、日本のゲーマーや自作PC愛好者からも大きな注目を集めています。
本記事では、RX 9060 XTの詳細なスペックや特徴、ライバルとなるNVIDIA製GPUとの性能比較、日本市場における価格動向や購入ポイント、今後の展望までをわかりやすく解説します。
RDNA 4搭載のNavi 44コア採用、主流ゲーマー層をしっかり押さえる構成
RX 9060 XTは、AMD最新のRDNA 4ベース、Navi 44 GPUを搭載しています。このGPUは上位モデル「RX 9070シリーズ」のNavi 48コアよりもコンパクトかつコスト重視の設計となっており、主に1440p解像度以下のゲーミングニーズにフォーカスしています。実際、PCゲーマーの約80%が1440p以下の解像度でゲームを楽しんでいるデータもあり、日本でもメインストリームと言えるスペックです。

GPUコア部分は32 Compute Units(2048コア)、32基のRTアクセラレーター、64基のAIアクセラレーターを搭載。PCIe 5.0 x16接続、DisplayPort 2.1a、HDMI 2.1bなど現行最新規格もしっかりサポートしています。製造プロセスは高効率なTSMC 4nm。クロック周波数は最大3.13GHz(カスタムモデルは3.2~3.3GHzに達する可能性)と、発売時点GPUとしては非常に高い動作周波数が魅力です。
総消費電力(TBP)はVRAM容量に応じて150~182Wとなっており、ミドルレンジ帯としては標準的な範囲に収まっています。システム要件としては500Wクラスの電源が推奨されるでしょう。
メモリはGDDR6(最大16GB)、128ビットバス、コストパフォーマンスを重視
RX 9060 XTの魅力の一つは、用途と予算に合わせて8GBと16GBという2種類のVRAMから選択できることです。両モデルとも128ビットバスで20Gbps動作のGDDR6メモリを搭載しており、このあたりは競合となるNVIDIA RTX 5060 Tiと似た構成ですが、NVIDIA側はGDDR7を一部採用しており、帯域幅面でやや優位に立つケースもあります。

とはいえ、現状のPCゲームでは8GBあれば大多数のタイトルの中~高設定で1080p~1440pゲーミングを十分楽しめ、16GB搭載モデルは4K解像度、動画編集や生成AI用途など多用途化にも対応できる余裕のスペックです。特に最新・大型タイトルの高解像度テクスチャやAI処理を快適にこなすには16GBモデルが適しています。
ゲーム性能は?RTX 5060 Ti超え、日本でも「コスパ」最優先ユーザーにおすすめ
海外レビューによると、RX 9060 XT 16GBモデルは競合となるNVIDIA RTX 5060 Ti 16GBに対して平均で約6%上回る性能を記録しています。価格性能比では15%上回り、コストパフォーマンス重視の自作ゲーマーにも高評価。ちなみにRTX 5060シリーズの米国向け価格は8GBで379ドル(約56,850円)、16GBは429ドル(約64,350円)なので、同じ容量帯でもRX 9060 XTは割安な価格設定となります。

8GBモデルでも、前世代のRX 7600(8GB)に対しフルHD(1080p)平均で55%も高いパフォーマンスを記録。RTX 5060 8GB(299ドル:44,850円)とも正面から競り合う性能を示し、40本以上のタイトル平均で9%勝る結果も発表されています。高リフレッシュレートディスプレイやeスポーツタイトルをメインに遊ぶユーザーにはうれしい選択肢となるでしょう。
FSR 4世代対応、機械学習によるアップスケーリングとフレーム生成で快適さアップ
RX 9060 XTは、AMD独自のFSR 4(FidelityFX Super Resolution 4)へも正式対応しています。FSR 4は現時点で60タイトル以上に導入済みで、画像の機械学習によるアップスケーリングやフレーム生成機能、AI超解像処理により大幅なパフォーマンスアップが期待できます。最大で平均3.4倍のフレームレート向上が報告されており、高画質と高フレームレートを両立したいユーザーには強力なアドバンテージです。

競合のNVIDIA DLSS 4は最大4倍のフレーム生成にも対応しますが、FSR 4も今後のアップデートで「Redstone」など追加機能(Neural Radiance CachingやMLレイ再生生成、AI超解像・フレーム生成機構)が予定されており、将来性も十分。現時点で多くのPCゲームタイトルとの互換、導入のしやすさも魅力として評価できます。
日本市場価格は?円安や流通で高め、でも十分「狙い目」
2025年6月時点での公式価格は、16GB版で349ドル(約52,350円)、8GB版で299ドル(約44,850円)ですが、日本での販売価格はそれぞれ約65,000円、55,000円前後となっており(1ドル=150円換算で関税・流通コスト含む)、やや海外価格より高めな点は否めません。
ただ、NVIDIA製品も同様に円安や流通コストの影響を受けているため、「コストパフォーマンス最大化」で選ぶならRX 9060 XTの現状価格は十分検討の余地があります。BTOパソコンや自作PC向けの単品販売、日本国内代理店モデルも順次登場しており、今後もう少し値動きが見込めるかもしれません。

まとめ:RX 9060 XTは、2025年の主流PCゲーマー注目の新定番GPU
AMD Radeon RX 9060 XTは、最新RDNA 4アーキテクチャ、最大16GBのVRAM、1440p以下ゲーミングユーザーに最適な性能バランス、コストパフォーマンス重視の価格設定、最新FSR 4技術サポートなど、2025年以降の標準ミドルレンジGPUにふさわしい実力を持っています。
日本市場では販売価格がやや高めですが、競合であるNVIDIA RTX 5060シリーズと比較しても、同クラスで確実に性能・価格どちらも優位とアピールできる製品です。8GBモデルは一般的な主流ゲーミングやポータブルゲーミングPC、16GBモデルは4Kやプロ用途まで視野に入れた構成が可能。FSR 4による今後のアップデートも期待が持てます。
これから新たにPCを組む、あるいは既存PCのGPUアップグレードを狙う日本のゲーマー・クリエイターにとって、「応答性・コスト・将来性」を兼ね備えたおすすめの新選択肢となるでしょう。
AMD Radeon RX 9000 “RDNA 4” GPU スペック表
項目 | RX 9070 XT | RX 9070 | RX 9070 GRE | RX 9060 XT | RX 9060 | RX 9050? |
---|---|---|---|---|---|---|
アーキテクチャ | RDNA 4 | RDNA 4 | RDNA 4 | RDNA 4 | RDNA 4 | RDNA 4 |
GPUコア | Navi 48 | Navi 48 | Navi 48 | Navi 44 | Navi 44 | Navi 44 |
製造プロセス | TSMC 4nm | TSMC 4nm | TSMC 4nm | TSMC 4nm | TSMC 4nm | TSMC 4nm |
トランジスタ数 | 539億 | 539億 | 539億 | 297億 | 297億 | 297億 |
ダイサイズ | 357 mm² | 357 mm² | 357 mm² | 未定 | 未定 | 未定 |
CU数(Compute Units) | 64 | 56 | 48 | 32 | 未定 | 未定 |
レイアクセラレータ数 | 64 | 56 | 48 | 32 | 未定 | 未定 |
AIアクセラレータ数 | 128 | 112 | 96 | 64 | 未定 | 未定 |
ストリームプロセッサ数 | 4096 | 3584 | 3072 | 2048 | 未定 | 未定 |
ゲームクロック | 2400 MHz | 2070 MHz | 2220 MHz | 2530 MHz | 未定 | 未定 |
ブーストクロック | 2970 MHz | 2540 MHz | 2790 MHz | 3130 MHz | 未定 | 未定 |
FP32性能(ピーク) | 48.7 TFLOPs | 36.1 TFLOPs | 34.3 TFLOPs | 25.6 TFLOPs | 未定 | 未定 |
FP16性能(ピーク) | 97.3 TFLOPs | 72.3 TFLOPs | 68.6 TFLOPs | 51.3 TFLOPs | 未定 | 未定 |
INT8性能(ピーク・スパース) | 779 TOPS | 578 TOPS | 549 TOPS | 410 TOPS | 未定 | 未定 |
INT4性能(ピーク・スパース) | 1557 TOPS | 1156 TOPS | 1097 TOPS | 821 TOPS | 未定 | 未定 |
ROP数 | 128 | 128 | 96 | 64 | 未定 | 未定 |
Infinity Cache | 64 MB | 64 MB | 48 MB | 32 MB | 未定 | 未定 |
メモリ容量 | 16 GB GDDR6 | 16 GB GDDR6 | 12 GB GDDR6 | 8/16 GB GDDR6 | 8 GB GDDR6 | 未定 |
メモリ速度 | 20 Gbps | 20 Gbps | 18 Gbps | 20 Gbps | 20 Gbps | 未定 |
バス幅 | 256-bit | 256-bit | 192-bit | 128-bit | 128-bit | 未定 |
PCIeインターフェース | PCIe 5.0 x16 | PCIe 5.0 x16 | PCIe 5.0 x16 | PCIe 5.0 x16 | PCIe 5.0 x16 | 未定 |
TBP(消費電力) | 304W | 220W | 220W | 150〜182W | 未定 | 未定 |
価格(米国) | $599(約92,845円) | $549(約85,095円) | 4199元(約90,278円) | $299/$349(約46,345〜54,095円) | 未定 | 未定 |
発売日 | 2025年3月6日 | 2025年3月6日 | 2025年5月8日 | 2025年内 | 未定 | 未定 |