AMDは、CES 2025において最新の「Ryzen AI Max+ 395 ‘Strix Halo’」APUを発表しました。そして本日 AMD は、この「Strix Halo」APU と統合型 Radeon 8060S GPU のゲームベンチマークを正式に公開しました。このAPUは、エンスージアストやワークステーショングレードのノートPCを対象とした新設計で、モビリティプラットフォームではこれまでにないスペックを提供します。
「Ryzen AI Max+ 395 ‘Strix Halo’」は、Zen 5コアアーキテクチャをベースとしたCPUと、RDNA 3.5アーキテクチャを採用した統合型Radeon 8060S GPUを搭載しています。3つのダイ(2つのCCDsと1つのIOD)から構成され、次世代のInfinity Fabricによって相互接続されています。また、新しいメモリインターフェースにより、総帯域幅は最大256 GB/sを実現しています。
主力モデル「Ryzen AI Max+ 395 ‘Strix Halo’」の詳細スペック
「Ryzen AI Max+ 395 ‘Strix Halo’」は、16コア32スレッドを搭載し、基本クロックは3.0 GHz、ブーストクロックは5.1 GHzに達します。キャッシュメモリはL2が16 MB、L3が64 MBを備えており、TDPは55Wですが、45Wから120Wまで調整可能です。
統合型GPUであるRadeon 8060Sは、RDNA 3.5アーキテクチャに基づいた40CUのグラフィック構成を持ち、最大2,900 MHzのクロックを実現しています。さらに、各APUには50 TOPSの「XDNA 2」NPUが搭載され、AI処理能力も強化されています。
ゲーミングベンチマークにおける圧倒的な性能
AMDが提供した最新のゲーミングベンチマークによると、「Ryzen AI Max+ 395 ‘Strix Halo’」APUは、NVIDIAのRTX 4070と比較して1080pゲーミングにおいて最大68%高い性能を発揮しました。この結果は、ポータブルゲーミングPCにおいてこれまでにない高性能を実現したことを示しています。
ベンチマークテストでは、人気の高いゲームタイトルにおいてフレームレートが大幅に向上しており、特に高リフレッシュレートディスプレイとの相性も良好です。これにより、ゲーマーは快適なゲーム体験を享受できるだけでなく、モビリティとパフォーマンスの両立が可能となっています。
競合製品NVIDIA RTX 4070との比較
NVIDIAのRTX 4070は、2025年初頭に市場に投入された高性能GPUとして知られていますが、AMDの「Ryzen AI Max+ 395 ‘Strix Halo’」APUは、その上位を行く性能を示しています。特に1080p解像度でのゲーミングにおいて、RTX 4070に対して最大68%の性能向上を達成しており、価格性能比でも優位に立っています。
RTX 4070が主にデスクトップ向けに設計されているのに対し、AMDのAPUはポータブルゲーミングPC向けに最適化されているため、モビリティと高性能のバランスを追求した製品として高く評価されています。
AMD Ryzen AI Max+ 395 vs NVIDIA GeForce RTX 4070 Laptop (1080p High Gaming)
ゲームタイトル | AMD Ryzen AI Max+ 395 | NVIDIA GeForce RTX 4070 | 差分 |
---|---|---|---|
Counter Strike 2 | 197 | 196 | +1% |
Hitman 3 | 185 | 123 | +50.4% |
Middle Earth Shadow of War | 137 | 106 | +29.2% |
Call of Duty: Black Ops 6 | 123 | 98 | +25.5% |
Shadow of Tomb Raider | 118 | 117 | +1% |
F1 24 | 117 | 102 | +14.7% |
Borderlands 3 | 111 | 66 | +68.1% |
Ashes of The Singularity | 111 | 81 | +37.0% |
Watch Dogs Legion | 101 | 88 | +14.7% |
Total Warhammer III | 99 | 85 | +16.4% |
Assassins Creed Mirage | 98 | 86 | +13.9% |
Far Cry 6 | 97 | 89 | +8.9% |
Marvel’s Spiderman | 97 | 91 | +6.5% |
Assassins Creed Valhalla | 96 | 84 | +14.2% |
Baldur’s Gate 3 | 87 | 57 | +52.6% |
Final Fantasy 14 | 86 | 81 | +6.1% |
Cyberpunk 2077 | 77 | 56 | +37.5% |
Zen 5アーキテクチャとRDNA 3.5の融合
「Ryzen AI Max+ 395 ‘Strix Halo’」APUは、最新のZen 5 CPUアーキテクチャとRDNA 3.5 GPUアーキテクチャを融合させることで、従来のAPUにはない高い性能を実現しています。Zen 5の高効率なマルチコア性能と、RDNA 3.5の高度なグラフィック処理能力が組み合わさることで、総合的なパフォーマンスが大幅に向上しています。
また、次世代のInfinity Fabricによるダイ間通信の高速化や、新しいメモリインターフェースによる大幅な帯域幅の増加により、データのやり取りが迅速かつ効率的に行われ、全体的なシステムパフォーマンスが最適化されています。
AI処理能力の強化「XDNA 2」NPUの役割
「Ryzen AI Max+ 395 ‘Strix Halo’」APUには、50 TOPSの「XDNA 2」NPU(ニューラルプロセッシングユニット)が組み込まれており、AI処理能力が大幅に強化されています。このNPUは、リアルタイムでのAI推論や機械学習タスクを高速に処理することが可能で、ゲーム内のリアルタイムレンダリングやダイナミックなグラフィック調整においても高度なパフォーマンスを発揮します。
これにより、ゲーミングPCだけでなく、クリエイティブな作業やAIを活用したアプリケーションにも対応可能なAPUとして、多用途に利用できる点が特徴です。
製品の展開と今後の展望
AMDは「Ryzen AI Max+ 395 ‘Strix Halo’」APUを、エンスージアストやクリエイター向けのポータブルゲーミングPC市場に展開する予定です。高性能かつ省電力な設計により、ノートPCとしての持ち運びやバッテリー駆動時の使用にも最適化されています。
今後、さらに高性能なモデルや価格帯のバリエーションが展開される可能性があり、ポータブルゲーミングPC市場におけるAMDの存在感がますます高まることが期待されています。
AMD Ryzen AI MAX 300 “Strix Halo” APU ラインナップ
SKU名 | アーキテクチャ | CPUコア数 | 最大クロック周波数 | キャッシュ | GPUコア数 (名称) | TDP |
---|---|---|---|---|---|---|
Ryzen AI Max+ 395 | Zen 5 / RDNA 3.5 | 16 / 32 | 5.1 GHz | 80 MB | 40 CUs (Radeon 8060S) | 45-120W |
Ryzen AI Max 390 | Zen 5 / RDNA 3.5 | 12 / 24 | 5.0 GHz | 76 MB | 40 CUs (Radeon 8060S) | 45-120W |
Ryzen AI Max 385 | Zen 5 / RDNA 3.5 | 8 / 16 | 5.0 GHz | 40 MB | 32 CUs (Radeon 8050S) | 45-120W |
Ryzen AI Max 380 | Zen 5 / RDNA 3.5 | 6 / 12 | 4.9 GHz | 22 MB | 16 CUs (Radeon 8040S) | 45-120W |
まとめ
AMDの「Ryzen AI Max+ 395 ‘Strix Halo’」APUは、最新のZen 5とRDNA 3.5アーキテクチャを搭載し、ポータブルゲーミングPCにおいてNVIDIA RTX 4070を最大68%上回る性能を実現しました。高いAI処理能力を持つ「XDNA 2」NPUや、効率的なメモリインターフェース、次世代のInfinity Fabricによる高速通信など、数々の革新的な技術が詰め込まれています。
これにより、エンスージアストやクリエイターにとって、モビリティと高性能を両立させた新たな選択肢となる「Ryzen AI Max+ 395 ‘Strix Halo’」APUは、今後のゲーミングPC市場において大きな影響を与えることでしょう。AMDの最新技術がもたらす次世代のゲーミング体験に、今後ますます注目が集まります。