AMDが最新のRyzen 9000シリーズ「Zen 5」デスクトップCPUのゲーミング性能に関する最新情報を公開しました。当初のレビューでは期待を下回る結果が出ていましたが、AMDは改訂版のベンチマーク結果を発表し、Intel第14世代CPUと同等の性能を示したとしています。さらに、Windows 11向けの分岐予測コードの最適化パッチにより、さらなる性能向上が見込まれるとのことです。
改訂版ベンチマークでIntel第14世代CPUと同等の性能を示す
AMDは当初、Ryzen 9000シリーズがRyzen 7000シリーズと比較して1080p解像度で平均9%の性能向上、競合(Intel第14世代)と比較して平均6%の性能向上を主張していました。これらの数値は30以上のゲームでのテスト結果の平均でした。
しかし、多くのレビューアーが実際のテストで期待を下回る結果を得たため、AMDは新たなブログ記事で状況を説明しました。AMDは以下の点を明らかにしました:
- 多くのゲームでは、ゲーム内ベンチマークツールを使用していたが、これが必ずしも実際のゲームプレイを反映していない可能性がある。
- 最新のテストではIntel CPUにDDR5-7200メモリを使用し、最大電力プロファイル(「Extreme/Performance」モード)を有効にした。
- 仮想化ベースのセキュリティ(VBS)を有効にしてテストを行った。
これらの調整の結果、AMDは以下の性能向上を主張しています:
- クリエイティブおよび生産性ワークロードで10%の性能向上
- AI関連ワークロードで25%の性能向上
- ゲーミングアプリケーションで5-8%の性能向上(Ryzen 7000シリーズと比較)
Intel第14世代CPUと比較した場合:
- 生産性とクリエイティブアプリケーションで二桁のリード(具体的な数字は不明)
- AI関連ワークロードで30%のリード
- 人気のゲームタイトルでは同等の性能
Windows 11向け分岐予測最適化パッチで最大13%の性能向上が可能に
AMDは、Windows 11での分岐予測機能に問題があることを確認し、現在Microsoftと協力して新しいコードを開発中だと発表しました。このパッチは近日中にWindows 11のリリースプレビューチャンネル(ビルド26100)で公開される予定で、ゲームの性能を最大13%向上させる可能性があるとのことです。
「Zen 5」アーキテクチャは、以前の「Zen」世代よりも広い分岐予測容量を備えています。AMDの自動テスト方法では「管理者」モードで実行されており、レビューアーが使用したWindowsバージョンには存在しない分岐予測コードの最適化が反映されていたとのことです。
AMDのテスト方法と結果の解釈
AMDは、ゲーミング性能のテスト結果を解釈する際の注意点をいくつか挙げています:
- テストスイートには、eスポーツ、AAA、人気の古いゲームなど、CPUバウンドとGPUバウンドの両方のタイトルが含まれている。
- テストスイートの構成によって、ゲーム性能の結論が大きく影響を受ける可能性がある。
- IntelのCPUは、比較可能なDDR5-6000メモリとデフォルト設定(ベースラインの電力プロファイル)を使用してテストされた。
- Windows の仮想化ベースのセキュリティ(VBS)を有効にしてテストを行った。これはWindowsのデフォルト動作だが、ゲーミング性能に影響を与える可能性がある。
まとめ
AMDのRyzen 9000シリーズCPUは、当初のレビューでは期待を下回る結果が出ていましたが、最新のベンチマーク結果ではIntel第14世代CPUと同等の性能を示しています。さらに、Windows 11向けの分岐予測最適化パッチにより、最大13%の性能向上が見込まれています。
AMDは、テスト方法や結果の解釈に関する詳細な情報を提供し、透明性を高めています。しかし、実際のゲームプレイでの性能や、さまざまな設定での比較結果など、さらなる検証が必要な点も残されています。
ゲーマーやPC enthusiastにとっては、この新しい情報とアップデートを踏まえて、自身のニーズに合わせたCPU選択を行うことが重要です。また、今後のWindows 11アップデートやドライバーの最適化にも注目する必要があるでしょう。